はい、どうも、ゲームプランナーの如月です。
いきなりですが、今日はプランナーの置かれている理想と現実の話をします。
日本固有の特質も合わせて、何回かに分けてお話しさせていただきます。
今回はキャリアパス編です。
〈キャリアパス編〉
『君は最終的に何がしたいのか?』
いきなり、クソ面倒くさそうな質問が来ましたね。これ、よく面接やら評価面談で聞かれる物かと思いますが、めっちゃ大事です。
なぜなら、プランナーのキャリアパスって、いくつかのパターンがあるからです。
例をあげます。
【プロデューサーになりたい】
ここに必要なキャリアパスは
[プランナー]→[ディレクター][プロジェクトマネージャー]→[プロデューサー]
みたいな感じですかね?
ゲーム周りの管理だけではなく、お金周り、会社のビジョンなど、ビジネス寄りの知識や経験が必要です。
会社によってはディレクターとプロデューサーが一緒だったり、プロデューサーは外部の会社だったりします。
メリットはそのゲーム開発における代表となる為、ゲームに対して口出しが出来ます。自分の考えたゲームに寄せる事も可能でしょう。
※ただし、ちゃんと利益を出せる見込みをたてられるなら
デメリットは開発自体に直接参加しにくい。現場に作業を任せる事が殆どなので、大体は上がってくる判断を行う人になります。自分から開発現場でバリバリコード書いたり仕様切るよー!ってプロデューサーは見た事ないです。
【ディレクターになりたい】
現場の最高責任者にあたるポジションです
必要なキャリアパスは
[プランナー]→[ディレクター]
とシンプルな場合が殆どですが、必要なスキルがプランナーとは微妙に違うので注意が必要です。
ディレクターは現場に仕事の振り分けをしたり、プロデューサーからの依頼を形にして投げ返したり、現場とプロデューサーの橋渡しになる場合が多いです。
プロデューサー(クライアント)からの依頼を受けて、その依頼を達成する為に現場の人員にタスクを振る。プロデューサーに渡す前に、体裁を整えたり、判断もする。そんなポジションです。
つまり、開発寄りだけど、かなりタスク管理や人員管理寄りだと言えます。
会社によっては、プロジェクトマネージャー(以後PM)に人員管理やタスク管理を渡して、ディレクターには開発の取りまとめに集中してもらう場合もあります。
メリットは現場の偉い人って立場になれます。みんなを先導していける立場なので多少なり英雄的に感じられるかもしれません
デメリットは現場の偉い人であって、プロジェクトにおけるトップではない為、プロデューサーと現場の板挟みになる場合が多いです。
【レベルデザイナーになりたい】
ゲームの根本的な面白さや遊び味に繋がる部分を設計、進行するポジションです。
実は国内では[プランナー]に内包されます。海外ですと[レベルデザイナー]という役職があったりします。
キャリアパスとしては
[プランナー]→[レベルデザイナー]
[デザイナー]→[プランナー]→[レベルデザイナー]
みたいな感じでしょうか。
自分はだいたい、この立ち位置にいます。
メリットはゲームの一番の肝を設計できる事につきます。面白いアイディアを形にするのはだいたいこのポジションです。
デメリットは表舞台に出てきません。表舞台に出るのはだいたい[プロデューサー]か[ディレクター]なので、ファミ通に載ったり、ろくろ回したりというパターンになるケースは多くないです。
もう1つデカいデメリットは基本的にユーザーからは叩かれる存在です。レベルデザインは失敗した時こそ話題になりますが、うまく行った時にはあまり話題になりません。褒められたい人にはオススメしません。承認欲求が満たせなくて苦しい思いをします。
レベルデザイナーに求められるのは2点です。
・体感を言語化、視覚化できる事
・数値に強い事
1つ目の体感の言語化というのは、つまり『このシステム、めっちゃ気持ちいい!』を正しく説明できる、理解できるという事です。
『よく分からんが、面白い...』ない訳じゃないですが、良いとは思いません。
『ここのギミックがこうなるから、気持ちよく遊べるんだ!』と説明が出来るのがベストです。
2つ目の数値に強い事ですが、レベルデザイナーは合わせてパラメータの設定をする事が多いです。その際に数値に強くないと、バランス崩壊させちゃったりに繋がります。ソーシャルの場合ですとシステムがインフレに耐えられないとかも最初の設計でやらかしてるパターン結構見ます。
だいたいのキャリアパスはこんな感じです。他にも選択肢はありますが多いのはこの辺ですね。
はい、では、現実の話をします。
【現実①】
[プロデューサー]、[ディレクター]については全く仕事の仕方が[プランナー]とは違います。
大きな会社で[プランナー]から[プロデューサー][ディレクター]に上がる為には運と年数が必要です。
そんなの待ってられない方、小規模の開発会社に行きましょう。人数が少ないチームが多い為、必然的に[プロデューサー]や[ディレクター]になりやすいです。その上で狙ってる大きな会社に転職しましょう。
[プランナー]経験しかない中途はなかなか上がれませんが、[プロデューサー][ディレクター]経験者となれば話は変わります。
何故なら[プランナー]だけでは得られない経験してる訳ですので。その為、上に上がる話もそう遠くないでしょう。
つまり、正攻法のいきなり大企業コースはまぁ、運と年数が掛かって、人生RTA勢には向いてませんという事です。
【現実②】
日本国内の[プランナー]の肩書きが意味する仕事内容が雑多。
これはかなりの問題です。[プランナー]って総合職扱いされる事が日本国内だと多いです。給料も低く、[プランナー]の中でも専門性が高い仕事をしていても評価されにくい場合があります。
また、勘違いが多いです。『[プランナー]って誰でも出来る仕事だよね?』と考える方が多いです。まぁ、デザイナーやプログラマーから見るとそうなんですが、[プランナー]は莫大な知識量とアイディア量が必要です。それは経験やセンス、ゲームに向き合った時間が大きいです。
海外と比べると日本の[プランナー]の地位は遥かに低いです。改革をしていきたいと私自身常々考え、動いていますが、なかなか賛同を得られません。悲しい現実です。
はい、キャリアパスについて、ざっくり書きました。
私も[プランナー]という肩書きの中で[レベルデザイナー]をやっています。最近は違う事をしてますがw
全ての[プランナー]さんに偉そうにも言いたい事があります。
『雑務だけやって、満足する[プランナー]にはならないでください。』
成長は止まり、歯車になり、黙々と作業を行う。そんな[プランナー]を何人も見ました。それではタダのロボットです。自動化されたら要らなくなってしまいます。
『自動化できない存在を目指してください。』
私たち[プランナー]はゲームの遊びを作ります。私たちが遊びに真摯である存在である事がゲームをより面白くします。楽しんでいきましょう。私たちはユーザーよりそのゲームを楽しむべきなのですから。